2013年8月23日 (金)

ワクチン防腐剤チメロサール その4 ダン・バートン氏

1998年頃、米国下院議員ダン・バートン氏は、

お孫さんの自閉症症状が出現するのを目の当たりにしました。

法的に決められている9回の予防接種を繰り返した後に、

言葉が出なくなったと考えたのです。

その原因を探るために、彼は下院議会の中に

調査委員会を設立させました。

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その調査は23年程度かかり、問題となったのは

ワクチン中の水銀防腐剤チメロサールでした。

チメロサールは体内に入るとエチル水銀に変化して

殺菌作用を及ぼします。

そのチメロサールが子供たちの脳神経にダメージを

与える可能性がある(灰色の疑い)ので、

2002年頃にチメロサールの使用禁止を通達しました。

 

チメロサールは1940年頃に合成されて、

ワクチンの防腐剤として利用開始されました。

そして、1943年に米国の小児科医カナーが自閉症児の症例報告をし、

さらに1944年にオーストリアの精神科医アスペルガーが

症例報告(後にアスペルガー症候群と呼ばれる)を行っています。

2002年にチメロサールの使用中止の通達がなされましたが、

その過程でチメロサールの無害性を報告する論文も

複数発表されました。

Mercury concentrations and metabolism in infants

receiving vaccines containing thiomersal:

a descriptive study.

Lancet. 2002 Nov 30;360(9347):1737-41.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12480426

この論文はチメロサールの安全性を確認するために、

乳幼児にチメロサール含有のワクチンを接種し、

数か月間の血液、尿、便中の水銀濃度変化を測定しています。

結果として、ワクチン接種後、血液中の水銀は速やかに

尿、便に排泄されていて、安全であったと結論付けられています。

 

しかし、重要な脳内への水銀の移行については

測定されていませんでした。脳内への移行がない

という事を確認して初めて安全と言えるわけですが、

実はそのことが証明されていなかったのです。

 

それ以降、安全であるという報告は疫学研究などが

中心で、これらの報告の中にも脳内への水銀の移行を

確認したものはありません。当然、子供の脳内の

水銀濃度など計れるわけはないので、

安全であることを証明するのは不可能なのです。

 

そして、米国の市民団体は、

上記の論文の報告者たちが、ワクチン製造の製薬会社から

資金援助を受けていたことを明らかにしました。

ワクチン製造を行った立場で、自らの確かさを

証明する報告をしたということです。

まったく利害関係のない第三者研究機関による報告

ではないために、そのデータの信頼性は低くなります。

 

MMRワクチンと腸炎問題を提示した

ウェークフィールド医師は、同じLancetに論文報告し、

患者家族より研究協力を受けていたことなどを指摘され、

論文抹消となりましたが、

上記の研究者たちは、製薬会社から研究費協力をされ、

さらに不十分な内容を同じLancet に報告しても、

特に問題指摘されることはありませんでした。

 

一方、チメロサールの有害性について報告している

基礎研究論文もあり、その中には日本からの報告もあります。

ただ、情報の非対称性の壁に阻まれ、

一般の人々の目に触れるまでにはなっていません。

 

次の機会に、その基礎研究に関する

論文の内容を簡単に説明したいと思います。

2013年8月20日 (火)

ワクチン防腐剤チメロサール・その3

2003年頃から「デトックス」という言葉を広げ、

流行語大賞にと連呼し続けた結果、

関脇くらいにまで広がりました。

しばらくはデトックスブームとなり、

デトックスのためのサプリメントの開発協力を行いながら、

デトックス君は医療現場ではデトックス医療の確立に取り組みました。

 

 

しかし、2007年頃に「デトックス」をサプリメント名に使うと薬事法違反?

というお裁きとともに、デトックスブームは冷え込み、

エステティック関連を中心としてのみ生き残るという状態になりました。

 

 

デトックスを医療の一部にという思いを持っていた

デトックス君としては、ちょっと複雑な思いでした。

この流れの背後にあるものへ思いを巡らす一般の方々は、

ほとんどいないと思いますが、

デトックス君は踏み込んではいけない部分に

踏み込んでしまったと考えました。

 

水銀汚染された大型魚の摂取、

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水道の鉛管で汚染された水道水の飲水、

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カドミウム汚染されたお米の摂食などが

切っ掛けとなる体内への有害重金属の侵入と、

それに関係する省庁では、余計な揉め事は避けたいところ。

火のない所に煙を立てるなということで、ブレーキが掛かったと推測しました。

 

 

そして、もう一つ大きな火種がワクチン防腐剤チメロサール。

1990年代後半から問題視され、2002年頃にその有害性は灰色となり、

米国では使用中止となりました。

一方日本では、使用中止か、10分の1までの減量という指示が出ました。

 

 

使用中止となると、無菌状態で不活化ワクチンを

作る製造ラインの立ち上げか、他の防腐剤の

使用検討が必要となります。減量は単純に使用量を

減らせば良いのですが、ワクチン製造側にとっては

原材料費を減らすことが出来るというメリットもあります。

 

 

国の方針としては、上記のような流れになって

現在も続いていると思います。そんな流れの中で、

2009年の新型インフルエンザ用ワクチンの

防腐剤チメロサールについての安全性通達で、

ちょっと気になる文章が医療関係者に流れて来ました。

 

 チメロサールが安全であることを強調する内容ですが、

その根拠を説明するための論文に、

出典: *1) Lancet 1998; 351 (9103): 637-641が取り上げられていました。

具体的な文章としては、

「○ 1990年代に、(チメロサールについて:デトックス君追加文)自閉症等の発達障害との因果関係が指摘されたが*1)、最近の疫学研究では、発達障害との関連性は示されていない。」となっていました。

この*1)の論文は前回のブログで取り上げた

ウェークフィールド医師が投稿したMMRワクチンと

自閉症児との関連について発表されたLancetのもので、

基本的にチメロサールのことには触れていません。

MMRワクチンは生ワクチンであり、

水銀防腐剤チメロサールは始めから投与されていないので。)

 

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ところが、この通達文章を書いた人は、

チメロサールについて記述されていないLancetの問題論文を引用して、

チメロサールの無害性を主張するという大胆な論述に打って出ました。

 

忙しい医療関係者は、書かれている内容を

そのまま受け取ったと思いますので、

当時、誤った情報が広がったことになります。

 

 

情報をたくさん持つ少数の専門家と、

情報をあまり持たない多数の一般者の間に

ある情報の『非対称性』ということが気になるこの頃ですが、

将来のある子供たちの脳の発達に関係する情報としては、

出来る限り正確な内容を伝えることが関係者の責務であると考えます。

2013年8月19日 (月)

ワクチン防腐剤チメロサール・その2 MMRワクチン

水銀防腐剤チメロサールが問題視される少し前に

大きな注目を浴びたのが、MMRワクチンと自閉症の

発症の問題です。

 

イギリスの消化器外科医であったアンドルー・ウェークフィールド氏は、

MMRワクチン接種によって腸炎症状を起こした子供たちが、

自閉症を発症したという論文を有名な医学雑誌Lancetに発表しました。

 

 

この論文が切っ掛けとなり、イギリスを始めとして、副作用を

恐れた家族がMMRワクチン接種を控えるようになりました。

その結果、麻疹などの感染症が増加して社会問題になった

というのです。

 

 

ワクチン接種を控えたために、小児の感染者が

増えたことを問題にした政府と製薬会社は、

ウェークフィールド氏の論文のあら捜しをして、

10年間に及ぶウェークフィールド氏潰しを行いました。

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そして、体制側は最終的に論文を削除するという行動に

出たのです。

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この間の出来事については、

TKサービスの野口氏のHPに詳しくまとめられていますが、

体制側と少数派側との戦いにおいては、様々な情報が飛び交い、

どれが本当に正しいのかを判断することが重要になります

http://www.tomorrowkids-service.com/autism/index.html

 

ここでは、その賛否を論じることは控え、発達障害を

多面的に捉える立場から単純に考察してみます。

生ワクチンであるMMRワクチンを接種すると、

子供たちの身体の中の免疫機能が刺激されます。

それは、全身に存在する白血球も活性化され、

腸管においては腸内細菌を相手に戦いを仕掛ける

可能性があります。

常在菌の腸内細菌に対し、ワクチンによって一時的に

興奮させられた白血球が腸粘膜で大立ち回りをする結果、

腸炎症状が起こります。普通はここで収まりそうですが、

体質的(遺伝的要因として)に炎症のコントロール機能が弱いと、

この炎症反応が脳神経系まで及ぶ場合もあります。

ワクチン接種が自閉症発病の切っ掛けとなるかの

判断は難しいですが、ワクチン接種によって腸内での

炎症が起き、さらに脳神経系にもそれが波及する

可能性は否定できません。

ワクチンが間接的に影響するか、直接的に影響するかは分かりませんが、

結果として神経症状が出ることもあり得ます。

しかし、体制側からすれば、そんなことがあってはいけないのです。

理屈抜きで、否定しなければいけなかったのです。

ただし、私はワクチン接種を否定しているわけではありません。

重篤な感染症を予防するために、ワクチン接種が最重要

ということは医療者として理解しています。

しかし、個人差があって、ワクチン接種の反応に違いが

あることも事実です。

子供たちの発達の問題には、遺伝的要因という個人差と、

障害の直接の引き金となる環境的要因という組み合わせが

重要と考えます。

今日はここまでにして、次回はMMRワクチンと

水銀防腐剤チメロサールのことをお話しします。

2013年8月17日 (土)

ワクチン防腐剤チメロサール・その1

イギリスの医学者ジェンナーが、牛痘(牛の感染症)にかかった

牛の血液の一部から作った薬品を人間に打ったのが、

ワクチンの始まりでした。

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その後、ワクチン接種によって

細菌、ウイルスなどによるヒトの感染症の一部を

克服できるようになりました。

 

そんなワクチンにも、時には重大な副作用もあり、

各ワクチンの接種の是非について議論が続いています。

また、それとは異なる防腐剤チメロサールの議論も。

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ワクチンは生ワクチンと、不活化ワクチンの二種類があります。

生ワクチンは、病原体の一部を弱毒化して利用しています。

具体的には、BCG、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン、

流行性耳下腺炎ワクチンで、後半の3種類をまとめて

MMRワクチンとしても知られています。

 

一方、不活化ワクチンは化学処理で死んだ

病原体(細菌、ワクチンなど)を利用しています。

これらのワクチンの保存について問題があります。

それは、製造後の雑菌汚染です。不活化ワクチンの

場合は防腐剤を投与しても、始めから病原体は

死んでいますから、効果に影響はありません。

 

しかし、生ワクチンは生きていますから、防腐剤を

投与しての保存はしません。このため、MMRワクチンには

チメロサールのような水銀防腐剤は含まれていません。

問題視されているチメロサールが(現在も)含まれて

いるのは、三種混合ワクチンン、インフルエンザワクチン、

日本脳炎ワクチン、B型肝炎ワクチンなどです。

水銀はタンパク質の一部と結合して変性させるので、

雑菌が死滅することになります。しかし、雑菌を殺そうとして

投与した防腐剤が、これから発達しようとする

子供たちの脳内のタンパク質に結合すると、

神経細胞が死滅する危険性も出て来ます。

 

過去10年以上にわたり、その論争が海外ではありましたが、

日本国内は温室のごとくで、殆ど議論はされていません。

それどころか、チメロサールは安全であると力説する

状況が続いています。

 

今回から数回を費やして、ワクチンと水銀防腐剤チメロサール

について、ブログ内で説明しようと思います。

また、メルマガで少し詳しく、専門的な考察も試みようと

準備中です。ご期待下さい。

2013年8月 7日 (水)

おーい、講演会だよ!!

今から10年ほど前、流行語大賞を狙って「デトックス」を連呼し始めた頃は、1年間に200回以上の取材を受け、講演会も1ヶ月に1回から2回こなしていました。

 

元来、人前に出ると緊張する性格に鞭打って、人前で繰り返し話し続けると、夢の中でも講演している状況となり、ちょっと疲れているなと感じたこともあります。

 

こんなことを言うと、聞いた人はうそでしょと言われますが、大学の卒業試験でガラス器具を使って、実験のデモンストレーションを行おうとすると、手が震えて上手く液体を注ぐことが出来なかったことを覚えています。

 

人前で話せるようにスーパーマーケットの売り子(売りオジサン)をして、ダシの素の販売をしたこともあります。それから、社会地図のセールスのバイトも。何でも経験と行ってみましたが、あまり効果なく、今も緊張感を克服できていないようです。

 

それでも、「光り輝く未来を子供たちに」というテーマになると、一人でも多くの人々に伝えたいという気持ちが緊張感を押さえてくれているようです。人目を引く大袈裟な表現ではなく、真実を伝える訥々とした言葉の中に、真実の光を感じるようになって来ました。

 

そんな状況の中、秋に東京健康クリニック主催の講演会を催すことになりました。本来は出版と連動させての講演会を予定していましたが、ちょっと出版準備に遅れがあって、講演会単独の実施となっています。緊張感のある話で分かりにくいかと思いますが、10年間近くの取り組みの集大成のような講演会です。

 

大胆なタイトルになっていますが、子供たちの変化の過程を目の当たりにして、驚きの結果から実感したことをまとめています。大森の手の震える様子でも見に行ってみようという気持ちで参加してみて下さい。

 

日時:2013921日(土)1430分~1630分 (受付開始:14時)
会場:女性就業支援センター:東京都港区芝5-35-3(JR田町駅徒歩3分・地下鉄三田駅徒歩1分
先着100名様(参加費は無料です)
詳細:http://www.c-fm.jp/dd/
お問合わせ・申込先:03-3449-9029

2013年7月31日 (水)

目覚め!!

長~~い眠りから目覚めたような感じです。

2007年の暮れに東京を離れて5年と6か月、病院の中に住み付いて
病院マネジメントと高齢者の方々の診療に明け暮れました。

そして、診察室の片隅で、子供たちの発達を支援する外来もこつこつと
続けました。
並行して、世界中で発表されている論文(抄録を含め)1万件以上を
読み、子供たちの脳の発達の邪魔をするメカニズムを推論して、
それを基に治療を検討しました。

ある時から、子供たちの変化を見て魔法を見ているような感じが
しました。最初は驚きでしたが、魔法だとすると種がある訳です。

きちんとしたメカニズムを推論できているとしたら、因果関係で
症状という結果があり、原因があるのは当然。
その原因を少しずつ変化させる取り組みを行えば、変化するんだ
と納得しました。

発達に課題を持つ子供たちに出会って10年以上が経過しましたが、
治療において確かな手ごたえを感じられるところまで来たように
思います。

そんな取り組みを東京で行えればと思い、東京健康クリニック
(http://www.c-fm.jp/dd/)での診療を開始しました。

 『光り輝く未来を子供たちに』の思いを、診療の中で実践し
たいと考えるこの頃です。

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